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銀座ハワイアン

ピーターさんのレコーディングでエンジニアをされている猪俣さんの叔父様がバロン芝小路という芸名のハワイアンシンガーだった。89歳で少し痴呆症がはじまっているというのに、300曲以上のハワイアンの歌が身体に染みついているから、イントロがなれば条件反射で歌ってくれるという。月に一度第4金曜日は銀座COCO PALMSでミニライブをやってくださるというので、89歳の歌声を聴いてみたいと想いました。15人も入ればもう満杯という小さなハワイアンBARにすでに数人のお客様がいらしていた。その中に芝小路さんも着席しており、そしてその場所で座ったまま浪々とハワイアンを歌われていた。お客様は83歳の有名なお寺のご住職だったり、日本ではじめてハワイ語を翻訳されたMr・Kakehi氏も83歳。銀座の大きなホテルの会長さんも80代。フラを踊ってくださるCOCO PALMSのカモミ田中さんは日本でトップクラスのフラの先生。ハワイアンギターを演奏して下さるのはクマ・マクーアさんはたぶん70代。私達が知らないハワイの歴史がここにありました。フラダンスは今も進化しているけれど、ハワイアン音楽はミュージシャンが学ばなくなってしまったから、止まってしまった・・とMr・KAKEHI氏は嘆いていました。それは時代の流れとしては当然のことなのかもしれないと。それでも言葉と同じ意味をボディーランゲージするフラは今もなお進化をしているのであるという。

ダンスを習う人のスピリットが違うと・・・。実際その小さな空間で、田中さんが歌に合わせてフラを踊ってくださると空気がさらさらと浄化して行くのがわかる。フラには癒しとデトックスの効果があると想う。そしてその美しさと神聖さに魅了されて、「ああこの方にフラを習いたいな・・・」とすっかり虜になってしまった。私はこういう身も心も心底美しく一つのことに凜と向き合い現役で輝いている女性に惚れてまう。ハワイの歌の歴史を話してくださるMr・KAKEHI氏のお話はとても興味深く、本にしたいくらいでしたが、すでにもう何冊もハワイの本を出版されている方でした。80代のお坊ちゃまがハワイアンを歌うのを楽しみにニコニコ顔でお店に入ってくると、お店の中から「アロハ」と聞こえてくる。なんと贅沢な趣味なんだろうと想う。お金では買えないステイタスが身体に染みついている。老人ホームなる場所では絶対に歌わない芝小路さんは薬を飲みながら、何曲も歌ってくださいました。ディック峰さんと同じ世代の一流のプロのハワイアンシンガー、バロン芝小路さんの歌は健在でした。