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心のハグして・・・2

ほぼ我が家の台所状態になっている、近所のお好み焼き屋さんのママさんがいつもメニューにないご馳走を出して下さるたびに「これはあんチャンが送ってきてくれた椎茸でちょこっと作ってみたよ。」と、ママさんの裏メニューの素材はほぼ岩手の陸前高田から送られてくるのでした。
それはトマトだったり、キュウリだったり、わかめだったり、ホヤだったり・・・。
そのたびに兄の話しを楽しそうにするママさん。
ご主人であるマスターと初めてキスしたときには、
「あんちゃん、こどもできたかもしんねぇ・・・どうしよう~」と可愛い妹からの電話に「おまえ、何したんだ?」と真剣に聴いてくる・・・。
「おら~キスしただ・・」
「なんだ、それだけか?」
「それだけだ。」
「んじゃ~子どもはできてねぇから、心配すんな。」
もうそのシーンが脳裏に浮かぶほど、それはそれは楽しそうに、愛おしい兄からの食のおくりものを丹精込めて、さらにさらにプロの手で美味しく完成されるのです。
まさにその味はマスターがつくるお好み焼きに匹敵する味で、常連客はかなりその裏メニューを目当てにやって参ります。(もちろんマスターやご子息のてっぱん料理も最高なんですけど・・・。)

今までにも池田聡さん、中西圭三さん、やっちんなどお仕事でご一緒したアーチストをお連れしたりすると
、無邪気に歓んでくださって一緒に撮った写真やサインなどもちゃんと飾ってくださっています。
近頃では米良美一さんをお連れしたら、
「もうここは私の台所にします。」というくらい
「ママさんの田舎料理は僕の故郷の味と一緒なのよ」と、太鼓判を押してくれました。

そんな陸前高田の素材がもう届かなくなるね・・・・。
ぜ~んぶ・・・あんちゃんごと流されちゃったよ・・・。

三日三晩泣き疲れるほど泣いたママさんにようやくお会いした震災から5日の夜、私達にはとても気丈にふるまってくださいました。
その想いをすぐに汲んでくれた米良さんはお友達のオペラ歌手であるまりさんとともに集合してくれました。
心のハグ以上にママさんはじめ、常連のみなさんにも全員にハグしながら、笑顔の乾杯・・いや献杯で巻き込んで行く米良パワーを肴に、みんなで陸前高田から送られてきた最後の椎茸でつくった筑前煮を堪能しました。
ママさんの冷えた手をずっと握りしめて温める米良さんは本当にヒーラーそのものです。
ママさんの悲しみが癒される行くように、みるみるカラダが熱くなってきたよ・・・と、もうその笑顔は心がほぐれていました。
「米良ちゃん すごいわ・・・あんたやっぱり魔女ね」
魔女かよ・・。

ちょっと、ちか姉!
これからはこのパワーで私たちが癒しに行く番よ!
パワーがなくっちゃ駄目なのよ!
米良ちゃんは男らしかったり、魔女らしかったり、天使だったりで、みんなの心を温めてくれます。

本当は東京でのコンサートが自粛された残念会をやりましょうって、米良ちゃんだって落ち込んでいたはずなのに・・・偉いぞ~ 酔うとエロいぞ~めらめら。
そのうちに「ちか姉~にはね、エロスが足りないのよ~!」 と説教モードに入ったところで、はい、おひらきとなりまして、米良ちゃんはみんなとハグしながら、最後はママも感激の大泣きハグでした。

こんなとき、大きい声で泣いた方がいいんだよね。
私は泣くよ~って、少女のようなママさんをしっかりと抱きしめて・・・キュンとする光景です。

今まで知らず知らずに味わってきた陸前高田からの贈り物・・・本当にありがとうございました。
ママさんのお兄様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。