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奇跡のクマンバチ

昨日の介護ホームで不思議な体験をしました。

終戦記念日の前日14日に仙台の親戚の睦子伯母さんが90歳で大往生されました。夫の祖母の妹にあたる睦子伯母さんは満州で東条英機氏の秘書室でタイピストをしていた経験のある方で、当時としてはとても貴重なワーキングウーマンだった方です。
祖母も睦子伯母さんも戦争の恐怖体験の中、青酸カリを持ちながら命からがらに夫の母や兄弟とともにやっとの想いで帰国することができました。
その絆にあやかって仙台のコンサートには必ず応援にいらしてくださいました。
それはそれは可愛らしい方で、ライブの後はとても興奮して感動を伝えてくださいました。
TVに出演するときには親戚に電話で伝えてくれるほどとても熱心に応援してくださってました。

昨年の11月の仙台ライブでは、お互いに今生の別れを予感したのか、その別れはとても寂しさを覚えました。
「ちかちゃん、あんたの歌聴くと・・・なんだか涙がこぼれてしまうね・・・・。いやいや~本当によかったわ~。もう歩けねからこれが最後かな・・と想ってね」

コンサートで生歌を聴くのが一番だ・・・と、その感受性は少女そのものです。
その睦子伯母さんが他界した翌日の介護ホームでの慰問ライブでした。
心では睦子伯母さんのために歌うからね・・・と想いを送っていました。
そんなときです。
介護ホームではまず手を洗浄し、うがいまでしなければならないほど、ウィスル予防がしっかりして、蚊やハエなど考えられないほど入る余地のない徹底ぶりな施設でしたが、本番がはじまってすぐに・・・夫のキーボートのところになんと蝉かと想うほどの大きな蜂が飛んできたのです。

夫は思わず硬直してしまうほど大きかったそうですが、それは黄色と黒のシマ模様があり、あきらかにクマンバチだったと言うのです。
それも夫の顔の辺りをブーンと一度だけ近くに飛んできて、すぐさまキーボード脇にあった植木の中へピタッと入り、な~~んと、顔だけ出してライブ中微動だにしなかったと言うのです!

クマンバチがライブを見学していたという構図です。
「睦子伯母さんがクマンバチになってライブを聴きにやってきたとしか考えられない」と・・・。
ギターのSORAOも「僕もちゃんとでっかい蜂が小野澤さんのところに飛んできたの見ました」と言うし。

そしてライブが終わったら、当然そんなクマンバチはもう消えていたのでした。

そう言われてみると、なんか睦子伯母さんがクマンバチにも似ているように思えてきました。

なんてったって、そんな勢いがあるエネルギッシュな方でした。
でなければ戦時中にタイピストなんてやってられません。気丈なるきりりとした伯母さんでしたもの。
「蝶には乗ってこないな・・・クマンバチだよ絶対・・。」
納得の夫の言葉でした。

永い人生大変お疲れさまでした。
謹んでご冥福を祈りながらも、最後にクマンバチになってライブを聴きにいらしてくれたこと、本当に本当に嬉しかったです。ありがとうございました。