ESSAY

キミと僕の永遠

歌セラピーVol.9  キミと僕の永遠

大切な家族であるペット・・・中学生だったある日突然、姉の同級生が一匹のワンちゃんを連れて我が家へやってきました。「すみません。この仔、飼ってやってくれませんか・・。」

捨て犬だった子犬を団地で飼っていたのだけれど、団地の規則では動物を飼ってはいけないとの事で管理員さんに指摘されて、泣く泣く誰かに引き取ってもらわなくてはいけなくなったというのです。我が家は犬を飼った経験がなく、母は自信がないと一度は断ったのですが、姉も弟もちゃんと面倒をみるからという約束で家族の一員となったのでした。名前は弟が「ジュリ」と名付けました。私は実を言えば動物が怖くて、恐怖心が勝ってしまったのですが、そんな気持ちを分かったのか、ジュリはとても温和しくて「キミには何も期待していないよ」と言わんばかりに、もっぱら母と弟に懐いている子でした。猫のように冬はこたつで丸くなる犬でした。

たまに私が散歩に連れ出すと、わっと畑の中を思いっきり走り廻り、「ジュリ~!」って呼んでも、「フン もう少し遊ばせてよ!」ってな感じで戻って来ません。

それでもほら、「帰るよ!」ってやっとこさ、紐を捕まえると「チッ!」と言わんばかりな態度です。恐らく私は完全になめられていたのだと思います。

それでもジュリは母や弟の気持ちを全身で受け止めてくれていた優しい子でした。

我が家に来て7年目を迎えた頃、別れは突然にやってきました。病院に連れて行ったときはすでにもう手術もできない状態だったのです。

反抗期真っ只中の私も家族みんなでポロポロ泣いて、ジュリが壊れかけた家族を修復してくれた瞬間でした。一番驚いたのは、自身の親が亡くなっても涙を流さなかった気丈な母が、お風呂場で嗚咽を上げて泣いていたのです。あんな悲しい泣き声をはじめて聴いた私はさらに悲しみ以上に反抗ばかりしていた自分を心から反省したのです。母の苦悩を一心を受け止めてきたジュリの存在の大きさは計り知れないものでした。それから母はもう二度とペットを飼うことはありませんでした。懐かしくせつないペットの思い出を、この歌で「ありがとう」と「ごめんなさい」を込めて歌わせて頂いてます。