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叔母のお引っ越し
目と鼻の先、スープが熱々冷めない部屋に居た叔母が夫の姉が住む松戸の実家にお引っ越ししました。
きっかけは、今年夫と私のそれぞれの二人の伯母が他界したことでした。
障害者手帳を持つ叔母は補聴器をつけてやっと耳が聞こえる状態で、2年前には子宮癌と乳癌を一度に患い、二度の手術をしたのですが、その後介護のチカラも借りずに一人でやってこられました。
それでも74歳の躰にはとてもこたえたと想います。
叔母は人生で15回も手術を受けており、祖母の介護もしながら、結婚をしたこともなく、2年前にその96歳の母を見送り、ようやく自由の身になったから、しばらく独り暮らしを満喫させて欲しいと申し出たのでした。それでも日に日に老いて行く叔母に何もできず不甲斐なく想っていた矢先に、親戚の伯母の突然死が2度も重なったのでした。
そこで年中留守にしている私達の側にいるよりは、姪である義姉家族が住む実家に居ることの方が、安心なのでは・・・とある時叔母に提案したのでした。
そうね・・・・・・。
長い沈黙があって、考えてみるわねと言った、翌週には引っ越しを決断しており、お仏壇の御炊きあげをすでに頼んでいたのでした。
「これ以上あなたたちに面倒をかけるわけにはいかないわ・・・」
気丈なプライドに、少し折れそうになりながらも、
ここで揺らいではいけないと叔母の引っ越しの手伝いをさせて頂きながら、その人生の仕分けの大変さを痛烈に感じました。
「身一つで来て欲しい」と言わんばかりで、何も持って行けない難しさは、苦しい選択です。
想い出を一つ一つ捨てて行くように整理する叔母の手は何も進みません。
見えないように、大きなゴミ袋にどんどん入れて行く私は鬼嫁です。
切なくて、切なくて、涙が止まりませんでした。
片付けができない叔母は、申し訳なさそうにドライフラワーにリボンをかけながら、
「ちかちゃんからもらった花束だから飾ってね。」
74歳の永遠の少女に敵いません。
結局あれもこれもと、段ボール20個分くらいにはなってしまいました。
いつかやってくる私という高齢者に、勇気を持って捨てなさい・・・と言えるだろうか。
持ち物すべてに賞味期限が切れましたよと割り切れるだろうか・・・。
形見分けといって、貰ってくれる人なんているんだろうか・・・。
リサイクルを楽しんでもらえることは、つくづく価値あることなんだな・・・って、今回の引っ越しで痛感しました。
叔母が新しい環境で幸せでありますように・・・。
かんこおばちゃんありがとうございました。