ESSAY

Vintage発売

3月9日 Thank youの日に発売しよう!という空耳の如く、聴感はとても音楽に大切な要素としてとらえております。私は70年代、80年代の洋楽に憧れを抱きながら、一方では英語コンプレックスの壁が立ちはだかる時代の一人として、歌手を生業としてコンサートで英語の歌を歌う場面に直面する度にバイリンガルを羨ましく思い、日本の英語教育のせいにして逃れている自分がおりました。いや、むしろ日本語を大切に伝える歌手でいいじゃないか!と開き直って参りました。

それでもいつか叶えたいと心に抱いていた洋楽COVERという夢と、英語コンプレックスを解決してくださったのが言葉の魔術師、作詞家の松井五郎さんでした。

英語の聴感を大切にしながら訳詞をして、さらに美しい日本語歌詞へと変換してくださった超訳詞の洋楽COVERアルバム「Vintage」がこの度発売となりました。

このプロジェクトがスタートしたのは昨年の6月頃で、50曲以上の選曲がなされ魔法の如く次々と松井五郎さんから日本語歌詞と音楽家の中江さんによる仮歌音源が送られてきました。

すぐさま小野澤がデモを制作をし、丁寧に載せられた歌詞を語り部の如く歌入れをして、

各音楽出版に許諾申請をお願い致しました。

3ヶ月以上返事がなく、ようやく返ってきた応えが許諾不可という楽曲がいくつもありました。

何度も一喜一憂して、松井五郎先生と共に闘えている許諾の道のりは待たされるほどに、チーム力が強くなるようで、愛おしい時間でもありました。そのお陰で女優の音無美紀子さんとの朗読コンサートも作・演出で関わって頂き、アルバム制作に拍車がかかりました。

当初昨年の秋には発売できると予想していましたが、大きく遅れて待ちに待った念願のThank you 発売日です。実は今も懲りずに許諾の壁に挑んでおります。デビュー35周年yearの節目となる今年、第二弾も諦めずにこのプロジェクトは現在進行中です。

是非ともこの耳心地の良い美しい日本語歌詞を味わって頂きまして、ふっと鼻歌の如く一緒に口ずさんでみてほしいのです。

青春の1頁が時を越えて、新鮮に蘇るメロディーと言霊を体験してみて下さい。

このアルバムがあなたの日々にそっと寄り添えていられますように・・・。

本当にありがとうございました。

PS 贈り物にもぜひ!

沢田知可子