ESSAY

空を見上げてごらん

空を見上げてごらん

2004年10月23日に起きた中越地震は甚大な被害があり、復興への歩みは映画になるほどでした。長岡復興チャリティーコンサートに参加させて頂いた12月23日、新幹線は越後湯沢まで。そこから車で移動し、高速道路もうねるほどの地震のエピソードを伺いながら、長岡産業会館前にて小雨の降る中、野外イベントが行われました。

私は20分という持ち時間で、「会いたい」の演奏がはじまるとそれまで静かな小雨だったのが急にゴーっとイントロをかき消すほどの雹へと変わったのです。傘をさしたまま微動だにできない観客を前に時が止まったかのように感じました。歌いながら、ふともう1人の自分が

「地球が悲鳴をあげている・・・」と感じたのです。

2曲目の「GIFT」ではバケツをひっくり返したような大雨に変わり、ラストの「幸せになろう」で気が済んだのかピタっと雨が止んだのです。

実はこの頃、人生の自暴自棄で慰問LIVEに行く自信もありませんでした。「こんな私の歌で誰かを励ますなんて・・・私は必要とされない歌手」と想うほど落ちていたのです。

この瞬間から長岡復興とともに私の心の復興がはじまったのです。

翌年から様々な試練を乗り越えた象徴として長岡では毎年8月2日、3日に世界一の復興花火フェニックスを打ち上げるまでに見事な復興を果たしました。私自身は復興支援ソングとして「空を見上げてごらん」を歌うようになりました。越後長岡応援団として毎年チャリティーコンサートにも参加させて頂くようになり、長岡大花火大会のエンディングソングとして、全ての花火が終えて何十万という花火見物の方達が帰りはじめるBGMとして流して下さるようになったのです。そして地元の北陸学園との学生達がこの歌に手話もつけてくれました。震災から12年目の2016年からは長岡少年少女合唱団との共演でついに米百俵尺玉100連発とのコラボレーションが叶ったのです。

気づけば16年もの月日が流れ、長岡との絆を育ててこられました。

2018年からは新潟県観光特使にもさせて頂きました。もちろん今年の長岡大花火大会を心待ちにしていました。残念ながらコロナ禍で中止になってしまいましたが、だからこそ今年はあらためて長岡大花火大会がいかに大きな存在であるかを噛みしめています。2004年に起きた中越地震から市民一丸となっての復興を果たし、その象徴であるフェニックス花火はまさに世界に誇る圧巻な大花火です。ドラマに負けないほどドラマティックな「天地人」も毎回新鮮に心をときめかせてくれます。今年は世界中のコロナ収束を祈願しながら米百俵尺玉100連発と「空を見上げてごらん」のコラボレーションを目に焼き付けて頂けますればと想います。是非沢田知可子オフィシャルYouTubeチャンネルにてご覧くださいませ。