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Grey Gardens

草笛光子さんの伝手で前から3列目という客席で観劇した、宮本亜門さん演出の実在のものがたりでもある、「Grey Gardens」・・・。
グレイって、スペル「Gray」だよね・・・って、辞書ひいちゃいました。
大竹しのぶさんと草笛光子さんの母と娘の壮絶な日常をえがいた作品です。
アメリカでは故ケネディー大統領夫人のジャクリーヌの叔母にあたる実在の人物ということでとても有名であり、TVでも話題になるほど50匹以上の猫と暮らす
元貴族の成れの果てという見方をされながらも、
ブロードウェイのミュージカルになるほど、共感を生む作品です。

私の夫の祖母は2年前96歳で大往生しました。
その祖母を人生をかけて支えてきた娘は、70歳を過ぎて看病ストレスで子宮癌と乳がんが同時に来ました。その親子を私達は目の前の賃貸マンションでずっと見守って参りました。
ある意味やっと長年の母への執着から解放された叔母は70歳を過ぎ、2年前にやっとこさシングルになったのですが、生前の祖母と叔母の会話や価値観など重なる場面、共感できる場面があまりにも深く
涙が止めどなく溢れて、言葉少ない叔母をもっともっと労りたい想いになったのでした。

ミュージカルとしての観点では、音楽があまりにも
アメリカンである旋律に日本の言葉をはめるには
あまりにも♪が足りなかったりで・・・それは作り手は大変だったと想います。
それでも終演後に草笛光子さんの楽屋に訪ねましたら、音楽家のお二人には辛口なご感想があると想いますと・・真摯な姿勢で迎えて頂いたことに恐縮しながらも、音楽を超越する圧倒的なキャリアと、オーラと美しさを兼ね備えた草笛光子さんの「謙虚」な魂の美に脱帽いたしました。

本物は究極の探求心を持ち合わせているので、
とても「謙虚」です。
それは腰が低いというのとはまた違い、
真の謙虚さこそがオーラとなって、会うものを圧倒させてしまいます。
私らの安い感想を慎ましく真剣に耳を傾けて下さりながら、その言葉一つ一つに想いを膨らませてくださいます。
大竹しのぶさんというザ・女優の名演技に心を翻弄されながらあっという間の一時でした。

ガーナチャリティーのときに一緒にライブをしたデビット矢野君も出演されていたのと、祖母と叔母の人生が重なって、とてもご縁を感じた舞台でした。

旋律はとても難しかったと想います。
その難題をこなしていた女優魂は、あっぱれでした。
私は歌手ですが、劇中歌を覚えて歌うことはかなり至難の業だと想いました。

草笛光子さんは母と同じ歳であり、かなり昔の母の顔とも似ており・・・今はかなり違いますが、その人生のあまりの違いにもこの舞台は重なってしまいました。
明日は・・・たまには・・・母に連絡をとろうと想います。そんな気持ちにさせてくれたものがたりに心から感謝です。ありがとうございました。

それにしても草笛光子さん、大竹しのぶさんの素肌は美しかったです。