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大人のおままごと

裏千家のお茶事作法をはじめて体験させて頂きました。
扇子、懐紙、替え足袋の変わりの替え靴下は白。
寄付・・とは待合の意味があって、準備室に時計や指輪をはずし、そこで白い靴下に履き替えます。
手水の儀式で手も心も静かに清めて茶室へと入っていきます。

襖の開け方や、茶室での掛け軸の拝見、釜と爐の拝見、座り方一つ一つにも作法があって、その様式美を正客(しょうきゃく)という先頭の方に見習いながら、夫も含め5人の客人が本座につきます。

なんだかぎこちない緊張感が漂いながらも、かえってその緊張している自分や夫がおかしくて、大人のおままごとがはじまる感じでワクワクしてきました。

そこへす~っと、亭主(ていしゅ)という役の茶事を仕切る女性が茶道口を開けて客一同にご挨拶をされます。
その洗練された佇まい、なめらかで、品格溢れるお話、全ての作法が躰に馴染んでいる様に、私も含め客人たちは一気にその世界へと誘われて行くのでした。

すごいぞ~今私は魔法にかかっている・・・。
なんだか千利休の世界へタイムトラベルをしているかのような錯覚にも陥るわけです。

釜に炭を入れ、火をつける様もショータイムです。客一同が炉を囲むような形で座り、陰と陽の世界があるその儀式を見守ります。
その炭の火を小さな屋形船の型の香合にうつし、その美しさと香りを拝見しながら、「どうぞ春の屋形船を思い浮かべて頂けますようにと思いを込めて、この香合をご堪能ください」と亭主の説明があるわけです。

ふ~~む、なかなか奥深い風情をかみしめて、初心者な私はわかったような顔して嗅いでしまうわけですな、これが。

さ、いよいよ懐石のお時間ですが、ここまでが軽く40分くらいかかってますから、この懐石どれほどじわりじわりと進んで参るのでありましょうや。
いざ、懐石!
折敷(おしき)持ち入り
一口サイズの飯碗、汁碗、向付(むこうづけ)を載せ、利休箸を添えて、先頭の正客へと運び、ここから一つ一つが順序よくその儀式の流れにそって、美しく懐石を召し上がるわけです。
この時に盃として頂いた日本酒のうまかったこと・・・。
茶碗を懐紙で拭き取ったり、箸洗いというお吸い物が出たり、八寸という一期一会のご縁を得た喜びを込めて、ここで亭主と客との盃が許されます。この世界では何はなくともまずは八寸と言われているほど、茶事の神髄がここにあるそうです。
茶事の中で花を貴ぶことも、人間である自分自身も自然の一部で花と同じであり、亭主も客もみな同じ自然の一部として共通部分を見つけて互いに助け合って行きましょうという思いが詰まっており、花だけでなく、季節や献立にもメッセージが込めてあるのです。

さ、いよいよクライマックスなる釜の湯で立てるお茶へとなりのですが・・・ここからまた同じくらいの時間をかけてのお茶の儀となりまして、その美しき大人のおままごとは4時間以上におよんだのでした。

ひょえ~~~流石!裏千家のお茶事。
渡されたマニュアルが18ページに及んだこの華麗なるお茶事の会に初挑戦させて頂きまして、
本当に心より感謝申し上げます。
私はぎっくり腰寸前なる危険な腰痛状態でしたので、実は正座はできませんでした・・・。
これを正式に正座してのぞんだとしたら、たぶんひっくり返っていたでしょう。
正座ができる人を心から尊敬しちゃいます。

何よりも日本の素晴らしい格式なる世界に触れることができて、とっても幸せでした。