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キング オブ マスタリング
レコーディングの最後の仕上げであるマスタリングにビクター中央林間工場の中にあるマスタリングセンターへ行って参りました。
マスタリング技師である小鐵さんは御年67歳にしても、なお現役バリバリで特別なKOTETSU ROOMが完備されております。
CDやレコードに収まるために楽曲たちの音質を微調整する最後の仕上げ人です。
今だからこそ、アナログ盤を作りたいというアーチストが増えているそうで、CDとアナログ盤のマスタリング機材が整っておりました。
小鐵さんは当然ながらアナログ時代からのエンジニアですから、アナログ盤とデジタルとの違いを身体全身で分かっていらっしゃる方です。
アナログ盤の暖かみのある音質はCDでは再現できないものなのか・・・。そしてCDとなっての利点は・・など、いろいろと質問をしてみましたら、驚いたことに
実はアナログ盤はCDよりも音の器は小さいのだそうです。ですからそのCDより小さな器の中に音を盛りつけて行くのが、エンジニアの醍醐味でもあるそうなのです。
そして、最終的に人間の耳に心地よい器がアナログ盤なのではないだろうか・・・と、それは深いい話となったのです。
聴覚は年齢と共に衰えてゆくと言われていますが、
毎回このマスタリングを小鐵さんとやりとりさせて頂いていると、小鐵さんは益々研ぎ澄まされて行くように思うのです。
音楽の耳が拓くのは年齢は関係ないのではなかろうかと思えるほどです。
そして小鐵さんは80歳までがんばりたいとおっしゃっていました。
このマスタリングの時間の中で様々な若いアーチストたちが小鐵さんの神業に魅了され、その説得力に巻き込まれながら、大いに成長します。
本物の音楽家へとなるための登竜門とも言えるくらいに、やさしく丁寧にそして真摯にマスタリングの大切さを教えて下さるのです。
そして思うのです。
マスタリングとはスポットライトのようなものなのかな・・・と。
スポットがあたったアーチストはみるみるオーラが大きくなります。その輝きがあるのとないのでは見栄えが違います。
小鐵さんはお化粧ともいいますが・・・。
私はもう15年ほどこの小鐵さんのマスタリングにお世話になっていますが、この最後の緊張がたまらなく好きです。
「この楽曲たちはアーチストのお子さんですから、五体満足にちゃんと世に出してあげたいのです」と、妥協を一切せずに実直にその神の技がなされていきます。
10時からはじまって終わったのは深夜2時となってしまいましたが、一糸乱れぬその凛としたたたずまいに
本物のプロフェッショナルであり、音楽の神様が見守っていらっしゃるのだと実感しました。
小鐵さんの魔法にかかったこのCDが9月21日に発売が決まりました。
「一期一会」プレミアムベストアルバムです。
ぜひぜひお楽しみに!!!