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ただいま故郷

岩手県のめんこいテレビの旅番組で旅リポーターを体験して参りました。二泊三日をかけて盛岡から秋田県大館を結ぶ花輪線に乗って来ました。

母親の実家が沿線の荒屋新町にあり、その縁でこの旅のリポーターに選んで頂いたのですが、毋は昔の話しや、ふるさとの話をあまり語らない人で、私にとって故郷を探究するはじめての旅となりました。一緒にレポートしてくれためいこいTVの千田アナウンサーは岩手に来てまだ半年ということで、31歳独身まじめイケメンのキャラをいじり倒しながら、楽しい旅でした。
岩手山、八幡平を目のあたりにすると、不思議とただいまって叫びたくなります。
まさしく岩手のDNAが流れているんだなって思います。

すると、あまり語らなかったはずの毋の言葉がちらっとよぎるのです。
安比漆塗りの絵付け体験では、毋は被れて大変だったけど、一番好きなのはやはり安比漆の食器だと子どもの頃に言っていたのを思い出しました。そうか、語っていたんだ。
毋の価値観やふるさとへのことばはいつも裏返しな言い方で、直球で受け止めてきた単純な私の解釈が、毋はふるさとがキライな人であったのです。でも今回の旅で想ったのは、愛し方を知らなかった人だったんだと感じたのです。
ふるさとを語れば、父は帰りたいのかと、それはまるでやきもちの如く、毋を揶揄したものですから、段々と遠退いて行ったのかもしれません。

夫婦、家族のささやか会話から毋は田舎を愛せなくなってしまったのです。
今さらながら、可哀想なことをしていたんだなと、なんだか泣けてしまいました。
そんな反省と感謝を込めて、安比漆お一人様セットでお腕と箸とお皿を毋のおみやげにしました。のんびりと揺られる花輪線に乗って、途中下車の一期一会は素敵なおもてなしばかりで、紅葉のお蔭で色彩豊かな目の保養になりました。
二泊三日いっぱいに使った取材の旅は編集マジックで30分におさまってしまいます。
放送は11月下旬だそうです。
私の宝物になりそうです。